造船・メンテナンスの関連銘柄

国策に売りなし、アメリカは造船業全滅なので、軍艦のメンテナンスも外国に任せないといけない模様

ってことで関連銘柄をGPTに調べさせてみた

業界全体の概観とサプライチェーン

日本の造船業界は、かつて世界首位のシェアを誇りましたが、中国・韓国勢との価格競争や国内企業の撤退により近年は存在感が低下していました。しかし環境規制強化によるエコシップ需要や、経済安全保障の観点から政府による産業支援策が追い風となり、新造船需要は中長期で拡大基調にありますkabutan.jpkabutan.jp。実際、2024年の世界新造船竣工量は約7,000万総トンと11年ぶり高水準となり(前年から連続増加)、「2030年代初頭には年1億総トン規模に達する」との予測もありますmachinist.co.jp。これは老朽船代替需要ゼロエミッション対応船への需要増大が背景です。

こうした中、日本政府は造船業復活に向けた基金創設や“国立造船所”構想を打ち出し、1兆円超の投資で生産能力拡充・人材育成・サプライチェーン強靱化を支援する方針ですkabutan.jp。日米も造船分野で連携し、砕氷船の技術協力や防衛艦建造などで日本造船業の役割拡大が模索されていますkabutan.jp。このように業界構造は「商船+艦船」両面で再編・強化が進んでおり、造船所だけでなくエンジン・艤装品メーカーまで含めた広範なサプライチェーン全体に恩恵が及ぶと期待されています。

船舶は**「巨大で複雑な構造物」**であり、エンジン・推進装置、バルブ・ポンプ、電装・航海機器、塗料・防食材、検査サービスなど多種多様な企業が関与する典型的な重厚長大型産業ですkabutan.jp。いわゆる「ゴールドラッシュでは道具屋が儲かる」との格言通り、環境対応や安全規制で高度化する船舶向け設備・材料分野に注目が集まっており、新造・修繕需要の拡大を追い風に関連企業の業績も改善傾向が見られますkabutan.jpkabutan.jp

以下では、日本国内の上場企業に限定し、(1)造船事業を直接手掛ける企業、(2)船舶のメンテナンス・艤装・修理等の企業、(3)造船・メンテナンスのサプライチェーン上で「道具屋」的立ち位置にある部品・機材メーカーに分類して詳しく分析します。それぞれの事業内容、主な取引先、造船・メンテナンス分野への関与度、時価総額(規模)や流動性、最近の業績動向、将来展望、リスク要因について整理します。また最後に主要企業の一覧表も掲示します。

主要造船企業(日本国内の上場造船メーカー)

日本の造船所の中で商船の建造を直接行っている上場企業は限られます。最大手の今治造船やジャパンマリンユナイテッド(JMU)は株式上場していないため、ここでは上場企業のみを取り上げます(※ただし非上場大手の動向も文中で適宜言及します)。

  • 三菱重工業【7011】 – 総合重機大手であり、長崎造船所などで商船から艦艇まで手掛けます。国内シェア1位の造船重機メーカーで130年以上の歴史を持ちkabutore.biz、子会社の三菱造船を通じて民間船(LNG船、フェリー等)を建造するほか、護衛艦(もがみ型フリゲート等)の受注実績もありますkabutan.jp。時価総額は約15兆円と極めて大きく流動性も高いですが、事業全体に占める造船の売上比率は一桁%程度と推定されます。最近はオーストラリア向け新型フリゲートの採用決定など防衛分野で明るい材料がありkabutan.jp、国策支援も追い風です。一方、商船分野は中国・韓国勢との競争激化、プロジェクト損失リスクが常に存在します。
  • 川崎重工業【7012】 – 総合重工で造船業界国内5位規模。神戸と香川(坂出)に造船拠点を持ち、MOSS型LNG船技術に強み、また日本初の潜水艦建造を成し遂げた実績がありますkabutore.biz。現在も潜水艦や官公庁船の建造を担う一方、商船ではLNG船や大型コンテナ船も受注。時価総額約2兆円弱。造船事業の比重は全社の中で限定的ですが、政府の造船支援策の恩恵や防衛需要拡大が期待できます。リスク要因は為替変動(輸出入比率高いため)や大型案件遅延です。
  • 名村造船所【7014】 – 商船専門の中堅造船会社。創業1911年、タンカーやバルク船、自動車運搬船など30万トン級大型船の建造・修繕を手掛け、橋梁の設計製作も行いますkabutore.biz。時価総額は約3,500億円(東証スタンダード上場)で、株式の流動性は中程度です。ばら積み船やタンカー、LPG船など幅広い商船を生産し、主な顧客は国内外の海運会社ですkabutan.jp2023年度は円高による採算悪化で四半期利益が前年同期比▲53%となり株価が下押しされました kabutan.jpが、造船市況好転で受注残高は前年より51%増の1,401億円に積み上がっておりkabutan.jp将来業績改善の蓄えとなっています。ただ、為替や鋼材価格の影響を受けやすく、受注船種の市況変動リスクも抱えます。
  • 内海造船【7018】 – 瀬戸内海拠点の中堅造船会社(旧称:内海/ナイカイ造船)。コンテナ船、プロダクトタンカー、自動車船などの新造と修繕工事を主力事業とし、省エネ型エコシップの開発にも注力していますkabutore.biz。東証スタンダード上場で時価総額は約310億円と小型ですが、直近の四半期純利益が前年同期比+89%増と好調で、受注残も大幅増加していますkabutan.jp2023年6月には最終利益が前年同期比+89%増との決算発表を受け、株価が急伸しましたkabutan.jp。同社はかつて造船業から撤退したカナデビア(旧:日立造船)系列で、日立造船が持分法適用会社として出資していますkabutan.jp。造船専業ゆえ業績変動幅は大きく、為替や造船市況がリスクです。
  • IHI【7013】 – 大手重工の石川島播磨重工業。現在は直接の商船建造からは撤退し、JFEと共にJMU(ジャパンマリンユナイテッド)に出資(IHI持分あり)する形で商船分野に関与していますkabutan.jp。また舶用ディーゼルエンジン(2ストローク主機など)やターボチャージャー製造も行い、艦艇など官公庁案件では技術力を保持しています。時価総額約8,000億円。JMUは砕氷船技術を持つなど強みがありますがkabutan.jp、IHI単体としては航空エンジンやプラントが主力であり、造船関連の収益貢献は限定的です。JMU事業の動向(Imabari造船による子会社化などkabutan.jp)が与える影響や、エンジン事業における脱炭素燃料対応の行方が注目点です。
  • (参考)今治造船(非上場)・ジャパンマリンユナイテッド(非上場) – 上場企業ではありませんが、日本の商船建造を語る上で重要な2社です。今治造船は国内最大手の造船会社で、愛媛を拠点に巨大タンカーからコンテナ船まで手掛けます。同社はJMUに出資して過半数子会社化を進めており、日本勢の再編を主導していますkabutan.jp。JMU(旧IHIマリンとJFE系の統合)は官公庁船や商船を造り、砕氷船など特殊船に強みがありますkabutan.jp。これら非上場企業との関係では、前述の通りJFEホールディングス【5411】がJMU株を約46%保有kabutore.biz、日立造船(現カナデビア)やIHIも出資しています。投資直接対象ではないものの、これら大手の動きは業界全体に大きな影響を与えます。

以上が主要な造船会社です。大手重工系は時価総額・流動性が高く安定性も比較的高い一方、中堅専業造船は株価ボラティリティが大きく流動性も限定される傾向があります。造船会社共通の将来展望として、国内建造量の増勢・国策支援・老朽船更新需要により中期的な追い風が期待されますkabutan.jpmachinist.co.jp。リスク面では、中国・韓国造船所との競争激化、造船人材不足によるキャパ制約、受注船価の乱高下、そして大型プロジェクト損失などが挙げられます。また為替相場(商船は米ドル建て取引が多い)も利益に影響し、円高局面では採算悪化リスクがありますkabutan.jp

船舶メンテナンス・修理・艤装関連企業

船舶の定期検査・修繕・艤装工事などメンテナンス分野は、造船所の修繕部門や海運会社系列のドックが担うケースが多く、専業で上場している企業はほとんどありません。例えば、大手海運会社は自社グループ内に船舶管理・工務部門を持ち、ドック入渠時の修繕を手配しますし、造船各社も建造隙間時間に修繕工事を請負うことが一般的ですkabutore.biz。このため、上場企業で「船舶メンテナンス専業」を掲げる例は限定的です。

しかし、広義のメンテナンス関連として以下のような企業が造船・運航の裏方を支えています。

  • 塗装・防食関連: たとえば中国塗料【4617】世界トップクラスの船舶用塗料メーカーで、船体の塗装や防汚塗料をグローバルに供給していますkabutan.jp。また日本ペイントHD【4612】関西ペイント【4613】も船舶向け塗料部門を持ちます(ただし自動車や建築用塗料が主力で、船舶塗料比率は一部)。定期ドックでの再塗装や新造船塗装需要増加は、これら塗料各社に恩恵をもたらします。塗料業界は**原材料価格や環境規制(有害物質規制)**の影響も受けますが、船舶省エネのための滑水塗料開発など将来技術動向も注目です。
  • 検査・認証・安全設備: **日本船級協会(ClassNK)**のような船級認証機関は非営利で上場ではありませんが、船舶の検査・認証プロセスに関与します。また、救命艇・救命筏や消防設備を扱う企業(例: ヤマトプロテック等)もありますが上場例は少ないです。コンドーテック【7438】は甲板用ワイヤーやチェーンなど係留・錨鎖製品を扱う商社で、造船・港湾向け需要があります。東京綱【5981】(東京製綱)はワイヤーロープの老舗で、港湾・船舶の係留用ワイヤーでも実績があります。これらは造船というより海事インフラ分野ですが、船舶運航の安全を下支えする存在です。
  • 艤装・修繕工事: 上場企業ではありませんが、三菱重工系のMHIMS(三菱重工Marine Machinery & Equipment)などは艦船含め修繕工事を担当し、近年では旧佐世保重工業を承継して艦艇の近代化改修などを実施しています。また、函館どっく(日本製鉄系)や新来島どっく(今治造船系)といった民間ドックも修繕専業として機能しています。投資対象ではないものの、造船所系列の修繕子会社がある点は念頭に置くべきでしょう。

総じて、メンテナンス専業の上場株は限られるため、本稿では艤装品メーカーやサービス提供企業も含めた形で分析します。実際、次章のような舶用機器・部品メーカー製品供給だけでなくメンテナンスサービス(据付・点検・修理部品供給)で安定収益を得ている場合が多く、造船と維持管理の両局面で利益を上げる“道具屋”的企業と言えますkabutan.jp

造船・メンテナンス供給網の「道具屋」企業:舶用エンジン・機器メーカー

造船所にエンジンや各種機器を供給する舶用工業メーカーは、日本が世界に誇る分野です。エンジン・推進装置、電装・通信機器、バルブ・ポンプ類、操舵・制御システム、そして各種部品・素材メーカーまで多岐にわたります。以下、主要なカテゴリごとに代表企業を解説します。

舶用ディーゼルエンジン・推進装置メーカー

大型船の心臓部である主機関(ディーゼルエンジン)や推進器を製造するメーカーがこの分野です。日本には世界有数の低速ディーゼルエンジンのライセンス生産メーカーが揃っています。

  • ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)【6016】船舶用ディーゼル主機メーカー専業で、開発・設計・製造・販売・サービスまで一貫対応できる世界唯一の企業と称されますkabutore.biz。IHI・三菱重工などの系譜を引く会社で、船舶用低速ディーゼルエンジン(UEエンジン)を中心に手掛け、タンカー、バルク船、自動車運搬船などへ実績がありますkabutore.biz。時価総額約1,075億円。近年の新造船ラッシュでエンジン受注が好調で、2025年4-6月期も売上高+6.9%増と増収増益kabutore.biz。株価も1年前から3倍以上に急騰し市場の注目を集めましたkabutore.bizMITSUI E&Sや大手造船との資本関係があり(三菱重工14.8%、名村造船10%出資等investing.com)、主要顧客は国内造船所および海外含めたエンジン需要者です。今後はデュアルフューエル機関や脱炭素燃料対応が課題であり、開発投資負担や中国メーカーとの競合がリスクとなります。
  • 阪神内燃機【6018】中型船向け中速エンジンや可変ピッチプロペラ(CPP)で知られる老舗メーカー。製品は低速4サイクル機関や中速機関、CPP、バウスラスター、遠隔操縦装置等、多岐にわたりますkabutore.biz。時価総額は約114億円と小型で、主な顧客は内航船や小型外航船の造船所(神田造船所等)や船主です。内航フェリーや中小型商船の更新需要増が追い風ですが、受注規模が小さいため利益率が低く業績変動も大きいです(2025年4-6月期経常利益▲45%減kabutore.biz)。流動性も低めで、中長期ではエンジン需要縮小リスクに直面します。
  • 赤阪鐵工所【6022】Akasaka Dieselsの名で知られる小型エンジンメーカー。明治43年創業以来、4ストローク中速ディーゼルなど舶用エンジンに特化してきましたkabutore.biz。自社オリジナルの中速エンジンを開発し、漁船や小型商船向けに供給しています。時価総額約57億円と超小型で、株式流動性も低いです。業績は船舶需要に左右されやすく、2025年4-6月期は売上+13%増ながら経常利益1.7億円と小規模 kabutore.biz。ニッチ分野ながら沿岸船舶の電動化・ハイブリッド化など技術変化への対応力が課題です。
  • ダイハツディーゼル【6023】 – 商船用中・小型エンジン大手。大型商船・タンカー・貨物船向けの中速ディーゼル主機や陸用発電用エンジンを製造し、オイルミスト検知装置など安全機器も扱います kabutore.biz。トヨタグループ系(旧ダイハツ工業系)ですが事業は船舶エンジン主体です。時価総額約1,049億円。2025年4-6月期は受注好調で増収、堅調な受注残に市場も好感し株価上昇kabutan.jp。海外展開も行っており、東南アジア市場などで実績があります。中速エンジンの国内シェアは高く、特にフェリーや発電用で強み。ただ自動車関連会社ゆえ、親会社トヨタ系の経営方針に左右される部分もあり、また新燃料エンジン開発への対応が競争力を左右します。
  • (参考)ヤンマーホールディングス(非上場) – 中小型船舶用エンジンの世界的大手。プレジャーボートから商船まで広範なディーゼル・ガスタービンを扱いますが非上場です。上場企業ではありませんが、阪神内燃機やダイハツディーゼルと市場を争う存在です。
  • 推進装置メーカー(プロペラ・スクリュー): ナカシマプロペラ(非上場)が有名で、船舶用プロペラの国内シェア大手です。また西芝電機【6591】(東証スタンダード)は電動推進(モーター)や甲板クレーンも手掛けます(造船向けは一部)。推進軸系の機械要素では大同メタル【7245】大型船舶用軸受で世界トップシェアを持ちkabutan.jp、極めて重要なサプライヤーです。大同メタルはエンジンや軸受メタルを製造し、時価総額約500億円級の中型株です。船舶大型軸受の世界市場でトップというポジションから、新造船需要増は追い風ですが、自動車向け事業もあるためEV化動向など異業種リスクも抱えます。

総じてエンジン・推進系メーカーは、世界的な新造需要増で受注環境は改善していますkabutan.jp。しかし、将来を見据えると船舶エンジンの燃料転換(LNG・メタノール・アンモニア・電動化)への対応が必須で、開発投資負担が収益を圧迫しうる点が共通の課題です。また造船業界同様に中国・韓国のライセンスメーカーとの競争があり、日本勢の高品質戦略がどこまで価格競争力を保てるかもリスクファクターです。

航海・通信機器および電装メーカー

次に、船舶の「頭脳」や「神経」に当たる航海機器・通信機器・配電制御機器のメーカーです。この分野はニッチながら日本企業が強く、世界シェア上位を占めるものもあります。

  • 古野電気【6814】世界トップブランドの船舶用航海機器メーカー。レーダー、GPSコンパス、魚群探知機、オートパイロット、電子海図(ECDIS)など広範な航海・通信システムを開発kabutan.jp。海外売上比率が高く、グローバル市場でシェアを持っています。時価総額約900億円。IMO(国際海事機関)の安全規則により電子海図ECDIS搭載が義務化された際など恩恵を受けました。足元でも新造船需要拡大や古い航海機器更新需要で業績は堅調です。将来は自動運航(自律航行船)技術への対応が成長機会である一方、為替変動や地政学リスク(受注地域の偏重)などがリスクです。
  • 東京計器【7721】舶用計器・操舵システムの老舗。ジャイロコンパス、オートパイロット、航法装置で国内シェア大ですkabutore.biz。他に鉄道や油圧機器も手掛けます。時価総額約960億円。船舶用オートパイロットは同社の主力製品で、自動運航対応に向けた高度化が期待されます。直近業績は増収ながら投資負担で利益伸び悩みkabutore.biz。今後も研究開発費負担が重く、造船マーケット縮小時の受注減リスクもあります。
  • 日本無線(JRC) – こちらは上場ではなく、日清紡HD【3105】の子会社として存在します。船舶用通信・レーダーで古野電と双璧のメーカーです。日清紡HDは東証プライム上場で、傘下のJRCの海事機器事業も含めた多角経営をしています(他は電子部品やブレーキ等)。投資観点ではJRC単体に直接投資できないものの、日清紡の事業ポートフォリオ内で海事が占める割合は限定的です。
  • アイコム【6820】 – 無線通信機器メーカーで、業務用無線やアマチュア無線のほか船舶用無線も手掛けます。時価総額約300億円。船舶ではGMDSS対応機器などニッチ領域ですが、安定需要があります。事業全体では無線通信器が主力であり、市場としては成熟気味。海事無線の需要は海上保安庁や船舶局向けで、法令準拠の更新需要が中心です。競合は海外大手のサイバー等。
  • 寺崎電気産業【6637】舶用配電盤・制御システムのトップメーカー。船舶の配電制御盤、監視制御システム、ブレーカ機器などを製造していますkabutore.bizkabutore.biz。時価総額約572億円。多くの商船に同社のスイッチボードが搭載されており、ライフサイクルサービス(据付・保守)も展開していますkabutore.biz。業績は船舶建造の受注動向に左右され、2025年3月期は増収も経常減益予想でしたkabutore.biz。しかし環境規制対応で電装品高度化が進む中、中期的には安定成長が見込めます。リスクは造船業界向け依存と、原材料価格高騰などです。
  • JRCS株式会社(非上場) – 山口県拠点の舶用電機メーカーで分電盤や船舶自動化システムに強み。上場はしていませんが、近年IoTやAIを活用したスマート船舶管理に注力しています。今後の省人化トレンドで注目される企業です。
  • ナブテスコ【6268】 – 上場企業としては異色ですが、舶用遠隔制御システムで世界シェアNo.1を誇りますkabutan.jp。本業は鉄道ブレーキや精密減速機などですが、船舶向けにエンジン遠隔操縦システム(リモートコントロール装置)を供給し、多くの商船の機関制御室に同社製品が使われていますkabutore.biz。2025年7月には舶用機器事業の好調を理由に通期業績予想を上方修正しkabutan.jp同社の中期業績を下支えする要因と位置付けられました。時価総額約5,000億円超の大企業で流動性も高いですが、投資家からはロボット・航空機分野の方が注目されがちです。造船向け需要は全社売上の一部とはいえ、ニッチトップ事業として安定収益源になっています。将来は自動船舶の機関制御にも関与が期待できます。

バルブ・ポンプ・環境機器メーカー

船舶の流体制御や環境設備に関わるメーカーです。エンジンとともに不可欠な機器で、こちらも日本企業が強い分野です。

  • 中北製作所【6496】舶用バルブ・遠隔制御装置の総合メーカー。機関室やバラスト水ライン、タンカーのカーゴライン向けに各種自動調節弁、バタフライ弁、リモコン装置等を製造販売しますkabutore.biz。陸上プラント向け製品もありますが、売上の大部分が船舶向けです。時価総額約226億円。2025年6-8月期は売上+45.8%増と大幅増収で受注好調が伺えますkabutore.bizバラスト水処理装置向けバルブ需要やLNG船向け特殊弁など高付加価値品が伸びています。リスク要因は造船景気による需要変動と、海外メーカー(韓国・欧州)との競合です。
  • オーケーエム【6229】 – 岡野バルブ製造の流れを汲む工業用バルブメーカー。小型船・内航船向けバルブ類も扱い、舶用分野へ供給しています。時価総額約68億円(スタンダード上場)。規模は小さいものの、バルブ専門メーカーとしてニッチなシェアを持ちます。造船以外に上下水道向けなど分散しており、流動性は低めです。
  • 三菱化工機【6331】環境・化工プラントメーカーですが、舶用分野でバラスト水処理装置や燃料油清浄用遠心分離機を供給していますkabutan.jp。国際条約でバラスト水処理装置搭載が義務化されたことを受け、新造・既存船向けに需要が拡大しました。受注残は潤沢で、2024年度・2025年度と営業・経常利益で連続過去最高益を計画中と報じられていますkabutan.jp。時価総額約300億円弱。プラント事業と併せ持つため安定感はありますが、舶用向けは受注案件による波があります。
  • 守谷輸送機工業【6226】エレベーター製造会社ですが、船舶用エレベーターに注力しています。もともと貨物用エレベータ大手で、2002年にシンドラー社から船舶用エレベータ技術を継承し、2024年には韓国サムスン重工業から船舶用エレベータ32台を一括受注するなど実績を伸ばしていますkabutan.jp。直近では船舶向け売上は全社の約9%に留まりますが、ニーズ拡大が期待される分野ですkabutan.jp。2026年3月期も連続最高益予想で攻めの姿勢ですkabutan.jp。時価総額約80億円、株式流動性はやや低め。船舶用設備で新規参入を果たしたユニークなケースで、今後も船舶のバリアフリー化・大型客船需要に乗り成長を図れるか注目です。
  • 三浦工業【6005】小型ボイラ国内最大手で、舶用ボイラや関連機器にも進出。近年アメリカのボイラ大手を買収して海外展開を加速するとともに、舶用機器事業も拡大していますkabutan.jp。製品群は船舶用ボイラ、蒸留式造水装置、バラスト水処理装置など多岐にわたり、新造船ラッシュに伴い受注増が期待されますkabutan.jp。時価総額約3,300億円。舶用は売上の一部ですが、環境対応ニーズに沿った製品で競争力があります。リスクは買収による経営資源分散と、海外展開の難易度です。

その他部品・素材メーカー

最後に、造船・船舶運航を支える各種部品・材料メーカーを紹介します。「道具屋」的存在として、新造・修繕どちらでも需要が生じる企業群です。

  • イーグル工業【6486】機械用シール・パッキン大手で、船舶用に舵取り装置(船尾軸)用メカニカルシールや軸受シールを供給します。船尾管シールでは世界トップブランドで、潤滑油と海水を完全分離する無公害シール技術は多くの船で採用されていますblog.elmt.jpblog.elmt.jp。時価総額約1,360億円。自動車向けシールも多いため業績は景気連動しますが、海事向けは安定。環境規制によりオイル漏れ防止シールの重要性が高まっており、追い風です。
  • 日鍛バルブ(NITTAN)【6493】エンジン用バルブのメーカー。自動車エンジン用が主力ですが、大型ディーゼルエンジン用バルブ部品も製造し、船舶用中速エンジン向けでは国内シェア71%を持ちますkabutan.jp。2025年4-6月期は増収で最終黒字転換を達成しましたkabutan.jp。中空バルブなど高性能品で船舶エンジンの省エネ化に貢献しています。時価総額約180億円。自動車市場依存が高い点と、素材価格変動が収益に影響し得る点がリスクです。
  • リケンNPR【6209】ピストンリング等エンジン部品の大手。2023年に理研ピストンリングと日本ピストンリングが経営統合し誕生。自動車向けが主体ですが、船舶用大型ピストンリングも手掛けます。時価総額約300億円。EV化で自動車向け需要減リスクがある一方、船舶や産業用エンジン向けで補完を図っています。
  • ヤマト工業(大和工業)【5444】 – 鉄鋼・軌道用品メーカーですが、造船所向け船尾骨材などの船舶用形鋼を製造していますkabutore.biz。鋼材事業で海外展開もあり、JMU株も一部保有しています(JMUへの出資比率は46%との報道もありkabutore.biz)。時価総額約6,000億円弱の中堅鉄鋼会社。船舶向け高張力鋼など特殊鋼開発にも取り組んでおりkabutore.biz、造船需要増は鋼材出荷増につながります。逆に造船不況時には需給悪化の懸念があります。
  • 日本製鉄【5401】 / JFEホールディングス【5411】 – いずれも造船用厚板鋼材のトップサプライヤーです。特に日本製鉄は大型船向け厚板(EH47級など)や溶接技術を開発し、コンテナ船向け高強度鋼材で実績kabutore.biz。JFEは前述の通りJMU株を約46%保有kabutore.bizし、グループ内で船舶建造にも関与します。両社とも時価総額数兆円規模の巨大株で、造船向けは売上の一部ですが、造船市況の影響を受ける点では関連銘柄といえます。鋼材各社は造船以外の要因(建設・自動車需要、資源価格等)が業績を左右するため、投資目線では純粋な造船プレイとは異なります。
  • ニッチツ【7021】舶用艤装品メーカーで、船舶用ハッチカバーで高シェアを持ちますshikiho.toyokeizai.net。他に発電所用タービン容器等も製造。不採算だった鉱石採掘事業から撤退し、舶用機器に注力しています。時価総額約120億円(スタンダード)。ハッチカバーはバルク船の積荷を守る重要装置で、世界的需要が続きます。製品多角化が課題ですが、ニッチトップ企業として注目です。
  • 高田工業所【1966】(※非リストアップ)など、造船所向けに艤装品据付や配管工事を行う企業も存在しますが、ここでは割愛します。

以上、部品・素材メーカーも含めたサプライチェーン企業は数多く存在します。とくに船舶用エンジン周辺(軸受・バルブ・シール)や電装・塗装といった「道具屋」は、新造のみならず既存船の改造・メンテ需要でも安定収益が期待できる点が強みですkabutan.jp。一方で、多くは自動車・産業機械等との兼業であったり規模が小さく流動性が低い銘柄も多いです。投資に当たっては、それぞれの事業ポートフォリオに占める船舶向け比率財務体質、そして**技術の将来性(環境対応力)**を見極める必要があります。

主要関連企業一覧(カテゴリ別)

最後に、上述した企業を中心に主要銘柄をカテゴリ別に整理した一覧表を示します。

カテゴリ 企業名(証券コード) 主な事業・船舶分野での役割 時価総額規模(億円)* 備考・最近の動向(造船関連)
造船(商船・艦船) 三菱重工業(7011) 総合重工。商船(LNG船等)・艦艇建造(護衛艦など) 149,000kabutore.biz 国内造船シェア1位kabutore.biz。政府支援策で造船復権に期待kabutan.jp
川崎重工業(7012) 総合重工。商船(LNG船)・潜水艦等 19,454kabutore.biz LNG船・潜水艦の実績kabutore.biz。造船業界5位kabutore.biz
名村造船所(7014) 専業造船。タンカー・バルク船・自動車船の建造・修繕 3,508kabutore.biz 受注残1400億円超と拡大kabutan.jpも、円高で利益半減kabutan.jp
内海造船(7018) 専業造船。フェリー・RORO船・自動車船など幅広く 313kabutore.biz 四半期利益+89%増kabutan.jp。日立造船系(持分会社)kabutan.jp
IHI(7013) 重工。現在は商船建造せず(JMUに出資)、舶用エンジン製造 8,000 (推定) JMU株出資kabutan.jp。エンジン事業で環境対応模索。
※今治造船(非上場) 国内最大手造船。コンテナ船・タンカー多数 JMUを子会社化へkabutan.jp。国内再編を主導。
舶用エンジン・推進装置 J-ENG(ジャパンエンジン、6016) 船舶用ディーゼル主機メーカー(低速2ストローク) 1,075kabutore.biz 世界唯一の一貫体制強みkabutore.biz。受注増で株価急騰kabutore.biz
ダイハツディーゼル(6023) 中速ディーゼルエンジン大手。発電用エンジン等も 1,049kabutore.biz 商船向けエンジン好調kabutan.jp。受注増で業績改善。
阪神内燃機(6018) 中小型エンジン・CPPメーカー 114kabutore.biz 内航船向け中心。業績変動大きい。
赤阪鐵工所(6022) 中小型ディーゼルエンジン(中速機関) 57kabutore.biz 創業1910年。ニッチ市場。
大同メタル工業(7245) エンジン軸受専業、世界トップシェア(大型船用軸受) 500 (推定) 舶用軸受で世界首位kabutan.jp。自動車向けも展開。
ナカシマプロペラ(非上場) 船舶用プロペラ国内最大手 プロペラ・軸系のトップメーカー。
電装・航海通信機器 古野電気(6814) 航海機器世界大手(レーダー、魚探、ECDIS等) 903kabutan.jp 航海機器で世界トップ級kabutan.jp。自動運航対応に期待。
東京計器(7721) ジャイロコンパス・オートパイロット等 960kabutore.biz オートパイロットで実績kabutore.biz。業績は投資負担で伸び悩み。
寺崎電気産業(6637) 舶用配電盤・制御システムでトップシェア 572kabutore.biz 配電システムや監視制御で主導kabutore.biz。保守サービス展開。
ナブテスコ(6268) エンジン遠隔制御装置で世界シェア高 5,000 (超) 舶用リモコンで高シェアkabutan.jp。業績下支え要因kabutan.jp
日本無線(非上場、日清紡HD傘下) 船舶用通信・レーダー大手(JRCブランド) 日清紡HD【3105】が親会社。古野電と二強。
アイコム(6820) 舶用無線機(GMDSS)など通信機器 300 (推定) 無線機老舗。海事向けはニッチ安定。
バルブ・ポンプ・環境 中北製作所(6496) 舶用バルブ・遠隔操縦装置の大手 227kabutore.biz 機関室・バラスト用弁で実績kabutore.biz。業績好調kabutore.biz
三菱化工機(6331) バラスト水処理装置、油清浄分離機を供給 300 (推定) 環境規制で受注増kabutan.jp。最高益更新計画kabutan.jp
守谷輸送機(6226) 舶用エレベーター(貨物・乗用) 80 (推定) 船舶向けエレベータ受注拡大kabutan.jp。最高益更新見通し。
三浦工業(6005) 小型舶用ボイラ、造水機、バラスト処理装置 3,300 (超) 舶用機器を拡大kabutan.jp。米社買収で海外展開。
オーケーエム(6229) 工業・舶用バルブ小企業 68kabutore.biz バルブ専業。内航船等に供給。
帝国電機製作所(6333) ポンプ(ケミカル・舶用)製造 300 (推定) シールレスポンプ大手。舶用は補機ポンプ等。
艤装・部品・素材 中国塗料(4617) 船舶塗料で世界トップ級 701kabutan.jp 船底防汚塗料などグローバル展開kabutan.jp
日本ペイントHD(4612) 総合塗料大手(船舶用塗料も保有) 11,000 (約) 船舶塗料は子会社Nippon Paint Marineで展開。
大和工業(5444) 鋼材メーカー。船舶用形鋼(船尾骨材等) 6,085kabutore.biz 船尾骨材など供給kabutore.biz。JMUに出資kabutore.biz
日本製鉄(5401) 高張力鋼板など船舶向け厚板供給 33,585kabutore.biz EH47厚板など開発kabutore.biz。国内造船向けシェア高。
JFE-HD(5411) 厚板鋼材供給。JMU株46%保有 11,235kabutore.biz JMU通じ造船参画kabutore.biz。国内シェア。
ニッチツ(7021) ハッチカバー等艤装品メーカー 120 (推定) ハッチカバー高シェアshikiho.toyokeizai.net。素材事業撤退し集中。
イーグル工業(6486) 機械用シール大手。船舶用舵軸シール世界首位 1,362kabutore.biz 船尾管シールで世界評価blog.elmt.jp。環境対応型製品。
日鍛バルブ(6493) エンジンバルブ(船舶用中空バルブ等) 181kabutore.biz 船舶中速機関バルブ国内71%kabutan.jp。黒字転換kabutan.jp
リケンNPR(6209) ピストンリングなどエンジン部品 300 (推定) 船舶用大型リング製造。自動車向けから拡大。
東京綱(5981) ワイヤーロープ大手。係留索など船舶用あり 150 (推定) 港湾・船舶向けワイヤー供給実績。
コンドーテック(7438) 建設資材商社だが、チェーン・金具類で船舶係留対応 300 (推定) 錨鎖や係船金具の品揃え豊富blog.elmt.jp

*時価総額は2025年10月時点の概算。大型株は流動性高、小型株(スタンダード市場等)は売買出来高が少ない傾向。

(表中の数値出典:株探テーマ別ページkabutan.jpkabutan.jpkabutan.jpほか、決算データより)

おわりに:将来展望と投資上の留意点

日本の造船・船舶産業は国策支援と世界的需要拡大を背景に復権の兆しがあります。業界再編も進みつつあり、新造船・修繕両面でサプライチェーン全体にビジネス機会が増大しています。大型造船株からニッチな艤装品メーカーまで幅広い銘柄が存在し、「ゴールドラッシュの道具屋」的発想で周辺機器メーカーに投資妙味がある局面と言えるでしょうkabutan.jp

ただし、留意すべきリスクも多々あります。造船需要の変動サイクルは激しく、景気後退や海上輸送停滞で受注減少の懸念がありますkabutan.jp。また海外(中韓)企業との競争激化でシェア争いに敗れれば、せっかくの需要増も日本企業には波及しません。環境対応では脱炭素燃料や自動運航技術への対応力が差別化要因となり、開発投資に出遅れると競争力を失う可能性があります。小型の部品メーカーは単一業種依存や取引先集中のリスクも高く、流動性が低い銘柄では思わぬ株価変動にも注意が必要です。

以上を総合すると、造船・船舶メンテナンス関連株への投資は、中長期の業界構造変化(環境規制強化や国際協調)を視野に入れつつ、個別企業の技術優位性と財務健全性を丁寧に見極める姿勢が重要です。造船そのものよりも安定収益が見込めるサプライヤー企業に注目する戦略は有効ですが、市場の注目が集まって株価上昇した銘柄も多いため、バリュエーション面の検討も欠かせません。今後も国際的な海運動向や政策動向をウォッチしつつ、適切なポートフォリオ配分でこの「日本造船復権」のテーマに臨むことが望ましいでしょう。

参考文献・情報源: 日本経済新聞、株探ニュース、企業決算説明資料等kabutan.jpkabutan.jpkabutan.jpmachinist.co.jp。上記一覧表中のデータ出典は株探(かぶたん)銘柄ページおよび決算短信kabutore.bizkabutore.bizkabutore.biz。各社公式サイト、業界団体資料も適宜参照しました。