社会保険料どうするんねって話の中で、高市さんが診療報酬・介護報酬の引き上げに言及していたので、関連銘柄をGPTに調べさせてみた
これから製薬業界は厳しくなるんじゃないかな、というのが個人的な感想
診療報酬・介護報酬引き上げと関連業種別の注目銘柄
概要: 2024年度の診療報酬改定では本体が+0.88%(薬価は-0.97%引き下げ)となり、介護報酬も+1.59%(うち0.98%が職員処遇改善)と増額改定が実現しましたnote.comsolasto-career.com。医療・介護分野への公定価格引き上げは、関連企業の収益に追い風となる可能性があります。本稿では業種別に、報酬改定の仕組みと株価への影響、代表的な銘柄(証券コード付き)を整理します。各セクションではまず報酬制度が与える影響の仕組みを解説し、続いて代表銘柄の一覧表を示します。また必要に応じて過去の改定時の株価動向データや専門家の見解、企業IRコメントにも触れます。
病院経営セクター(病院運営・経営支援)
影響の仕組み: 診療報酬(医科報酬)の引き上げは、病院の収益改善に直結します。日本の病院の約7割近くが赤字経営に陥っており(2018年度は55%赤字→2024年度は69%赤字)diamond.jpdiamond.jp、基本診療料の増額は病院経営の安定化策として重要です。報酬増により病院の手元資金が増えれば、人件費や設備投資に余裕が生まれ、病院経営を支援するコンサル企業や、委託・アウトソーシング企業のビジネス機会も拡大します。また、診療報酬改定では看護師や看護補助者の処遇改善も焦点となり、病院は人材確保のため外部サービスの活用を進める傾向がありますnote.comnote.com。さらに、診療報酬増額に合わせて成功報酬型で病院の増収策を提案する企業もあり、病院収益が上がればそれら企業の収益も比例して向上しますdiamond.jp。
過去の動向: 直近の2024年度改定では医科本体が+0.52%となりnote.com、増額幅自体は小幅でしたが、「賃上げ重視」の方針で看護補助など人的サービス領域に重点が置かれましたnote.com。このため、人材派遣や委託業務を行う企業にはプラスに作用すると見られています。一方で、医業収支の厳しい病院が多いため、市場では病院経営支援関連株に注目が集まりつつあります。例えば2025年9月には、病院向け経営コンサルを行うユカリア(後述)が地方病院との提携拡大を発表し、厳しい経営環境下で同社の存在感が増すとの報道がありましたdiamond.jpdiamond.jp。同時期に病院経営支援銘柄として、ユカリアのほかエムスリー、シップヘルスケアHD、メディカル・データ・ビジョンなどが取り上げられていますdiamond.jp。これらの銘柄は報酬改定や政策支援を追い風に、中長期で病院の経営効率化ニーズに応えて成長が期待されます。
代表的な銘柄一覧(病院経営関連): 報酬改定メリットを享受しやすい病院経営・運営支援企業を中心に、大型から小型まで例示します。
| 証券コード | 企業名 | 主な事業領域・モデル | 関連する報酬制度 | 改定の影響度合い(追い風の強さ) |
|---|---|---|---|---|
| 3360 | シップヘルスケアHD | 病院の新設・移転・増改築の企画から運営支援まで一括サービスdiamond.jp。医療施設の建設・PFI事業も展開 | 診療報酬本体(病院収入) | 高(成功報酬型契約で病院増収の恩恵を享受diamond.jp) |
| 286A *注 | ユカリア | 病院の経営コンサル・資金調達支援、医療周辺事業(機器購買、DX導入等)diamond.jp。旧キャピタルメディカ | 診療報酬本体(病院収入) | 高(経営難病院への支援需要増、提携病院数拡大diamond.jp) |
| 2413 | エムスリー | 医師向け情報プラットフォーム運営。近年、病院経営シミュレーション提供など経営支援にも進出diamond.jp | 診療報酬本体、人件費加算 | 中(病院の増収シミュレーションを無料提供しコンサル契約獲得diamond.jp) |
| 3902 | メディカル・データ・ビジョン (MDV) | 病院向け経営分析システム「Medical Code」で原価計算や診療単価改善を支援diamond.jp。診療データ分析も手掛ける | 診療報酬本体(診療単価) | 中(病院の収益改善ニーズ増でシステム導入拡大が期待diamond.jp) |
| 6197 | ソラスト | 病院の医療事務委託で国内最大手、介護施設運営も展開。医療事務スタッフ派遣・委託収入が柱 | 診療報酬本体、人件費加算 | 中(病院の業務効率化ニーズ増で委託需要安定。低PBRながら成長余地note.com) |
| 9158 | シーユーシー (CUC) | エムスリー子会社。急性期病院の経営支援、病床転換コンサル、在宅ホスピス運営等を展開finance.yahoo.co.jp | 診療報酬本体、在宅医療報酬 | 中(病院の経営合理化・在宅移行ニーズ増により案件拡大が見込まれる) |
*注: ユカリア(286A)は2024年12月上場の新興企業です。証券コードにアルファベットを含むグロース市場銘柄で、病院経営支援の専業として注目されていますeucalia.jpja.wikipedia.org。
介護サービスセクター(介護施設・在宅介護事業者)
影響の仕組み: 介護報酬は介護施設・事業者の収入源であり、その改定は業績に直結します。2024年度の介護報酬改定率は+1.59%(前回2021年度は+0.7%)と大幅なプラスとなりjoint-kaigo.com、介護事業者にとって久々の増収機会となりました。内訳の**+0.98%が介護職員の賃上げ目的**であり、人件費補填に充てられますsolasto-career.com。このため事業者から見た実質改定率は残り+0.61%程度に留まるとの指摘もあり、物価高を考慮すると*「実質マイナス改定」*との厳しい見方もありますjoint-kaigo.com。しかし、人材確保が最優先課題の介護業界にとって賃上げ財源の確保はポジティブであり、離職率低下や採用環境改善を通じ中長期的に業績を下支えすると期待されます。
報酬増により利用者自己負担が増えても、基本報酬アップで稼働率やサービス利用が促進されれば収益増につながります。政府は*「介護DX」*推進や効率化にも言及しており、業務改善投資への補助等も拡充していますkabukarin.netkabukarin.net。介護報酬改定ではサービス種別ごとにメリハリが付けられ、例えば在宅サービスの一部は減算、介護度の重い利用者対応には加算強化など再配分が行われましたjoint-kaigo.comjoint-kaigo.com。結果として経営努力や加算取得に積極的な事業者が有利になる構造であり、設備投資・人材育成に積極的な企業が市場シェアを伸ばす可能性があります。
過去の動向: 前回2018年度の医療・介護ダブル改定時も介護報酬は+0.54%に抑えられ、多くの介護株は低迷しました。しかし今回は処遇改善加算の一本化やエネルギー高騰対策を含め実質2%以上の引き上げ効果がありsolasto-career.comsolasto-career.com、市場も一定の評価をしています。直近では、人材難に対応するロボット・ICT活用企業(いわゆる「介護テック」銘柄)の株価が注目を集めました。例えば介護支援ロボットのCYBERDYNE(7779)や見守りセンサー開発のミネベアミツミ(6479)/リコー(7752)などが2025年問題(団塊世代75歳以上ピーク)を意識したテーマとして物色されていますkabukarin.netkabukarin.net。一方、伝統的な介護サービス専業企業の株価はここ数年低迷気味で、上場各社の業績も人件費高騰で圧迫されていましたokuchika.net。今回の改定を機に、大手資本系列(例:SOMPOやベネッセ)と独立系中小との業績二極化が進む可能性も指摘されていますkabukiso.com。実際、報酬増でも人件費上昇幅が上回れば体力のない企業は苦戦するため、業界再編やM&Aも加速するとの見通しがあります。
代表的な銘柄一覧(介護サービス関連): 介護施設運営や在宅介護を手掛ける主な企業を、大手から中小まで取り上げます。
| 証券コード | 企業名 | 主な事業内容 | 関連する報酬制度 | 改定影響の程度・ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 8630 | SOMPOホールディングス | 損保大手だが介護事業を全国展開(SOMPOケア約300施設)。規模首位級kaigoshoku.mynavi.jp | 介護報酬全般(施設・在宅) | 中(報酬増は介護子会社の増収要因だが保険他事業への影響は限定的) |
| 9783 | ベネッセHD (ベネッセスタイルケア) | 教育大手ベネッセの介護子会社が有料老人ホーム等を運営。大手の一角 | 介護報酬(特定施設入居等) | 中(入居率向上で報酬増メリット享受。教育他事業比率高く全体影響は小) |
| 6197 | ソラスト | 医療事務委託で成長後、近年は介護施設を積極M&A。デイサービスやグループホーム多数運営 | 介護報酬(通所・入居系) | 高(M&Aにより介護部門売上が前年+48%増と拡大kitaishihon.com。報酬増で営業益押上げ期待) |
| 6062 | チャーム・ケア・コーポレーション | 関西発の介護付き有料老人ホーム運営会社。首都圏含め施設拡大中 | 介護報酬(施設サービス) | 高(入居率改善と相まって収益向上見込。中規模純粋介護プレーヤーとして改定メリット直接大) |
| 2374 | セントケア・ホールディングス | 在宅介護サービス大手。訪問介護、訪問入浴、看護、デイサービスなど幅広く展開 | 介護報酬(居宅系サービス) | 中(訪問系報酬は一部マイナス改定もありjoint-kaigo.com。ただ処遇改善により人材確保に寄与) |
| 2373 | ケア21 | 関西地盤の在宅介護・有料ホーム運営。積極的に独自研修で人材育成 | 介護報酬(訪問介護ほか) | 中(基本報酬アップも人件費増で利益率低下懸念。教育投資の成果でサービス品質差別化) |
| 7071 | アンビスHD (アンビスホールディングス) | 在宅ホスピス型施設「医心館」を全国展開。終末期医療と介護を融合したモデル | 医療・介護報酬(訪問看護、ターミナルケア) | 高(高齢者の看取り需要増で施設拡大。医療保険下の訪問看護報酬増も追い風) |
注: 大手保険系(SOMPOや東京海上<8766>※2022年に介護大手を買収)などはグループ全体への影響が限定的なため、純粋介護事業比率の高い企業ほど改定メリットが業績に表れやすい傾向があります。また、一部訪問介護などは利用減を想定した減算もあり、各社のサービス構成により受ける影響は異なりますjoint-kaigo.com。総じて、利用者ニーズの高いサービス領域を持つ企業や、加算取得率の高い企業が有利となるでしょう。
医療機器メーカーセクター(医療機器・ヘルスケア機器)
影響の仕組み: 医療機器メーカーに対する直接の収入は、診療報酬ではなく保険償還価格(医療材料価格)で規定されています。ただし、診療報酬改定時には医療材料も見直しがあり、今回は材料価格改定率-0.02%とわずかな引き下げに留まりましたnote.com。これは医療機器価格の据え置きに近く、メーカーにとって大きなマイナス要因が無かったことを意味します。一方で、診療報酬本体の増額によって病院収支が改善すれば設備投資意欲が高まりやすいため、高額医療機器の更新・導入が進む可能性があります。また、新しい治療技術や診断技術に対して診療報酬上の評価が新設・増点されると、それに対応する医療機器の需要が喚起されます。例えば内視鏡検査の有用性が認められて点数が上がれば内視鏡メーカーに追い風ですし、ロボット手術の保険適用範囲拡大は関連機器メーカーに恩恵をもたらします。
過去の動向: 日本のヘルスケア機器セクターは長期的に安定成長しており、過去20年でEPS成長率が全セクター中2番目という高い伸びを示してきましたmorganstanley.com。これは医療需要の底堅さと技術革新による付加価値向上によるものです。薬価のような毎年の大幅引き下げリスクが比較的少ない点も、機器メーカーの利益成長を安定させていますmorganstanley.com。直近では、新型コロナ対応で人工呼吸器や患者監視モニターを手掛けるメーカーが脚光を浴びましたが、コロナ収束後は平常時の病院投資需要(例えば老朽設備の更新)が戻りつつあります。2024年診療報酬改定では、オンライン診療機器や遠隔モニタリング機器の評価も議論され、医療DXに絡む機器市場の拡大が期待されていますkabukarin.netkabukarin.net。もっとも、公定価格で保険償還される高額機器(MRIや人工関節など)は中医協で個別に価格改定が行われるため、メーカー各社はイノベーションで価格引き下げ分を補う努力が必要です。一部では診療報酬増額よりも円安や海外展開の方が業績影響が大きい企業もありますが、国内需要の底上げという点で今回の改定はプラス材料と言えます。
代表的な銘柄一覧(医療機器関連): 国内主要医療機器メーカーを中心に、診療報酬・保険適用との関わりが深い企業を挙げます。
| 証券コード | 企業名 | 主な事業・製品 | 関連する制度・分野 | 改定影響のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 4543 | テルモ | 心臓カテーテルや人工心肺装置など医療機器大手。国内売上比率高 | 保険医療材料(治療用デバイス) | ◎ プラス(診療報酬増でカテーテル治療件数増加なら需要増。材料価格改定-0.02%で影響軽微note.com) |
| 7733 | オリンパス | 内視鏡で世界シェアトップ。外科手術用エネルギーデバイスも展開 | 診療報酬(内視鏡検査・手術点数) | ○ プラス(内視鏡検査の評価引き上げや癌検診奨励で機器販売追い風。コスト増は価格据置で吸収可能) |
| 6869 | シスメックス | 血液検査機器・試薬の大手。検体検査分野のリーディングカンパニー | 診療報酬(検査項目点数) | ○ プラス(予防医療重視で検査需要増は試薬売上増に直結。保険収載検査増加も好影響) |
| 6849 | 日本光電 | 生体情報モニターやAED等を製造。病院向け医用電子機器老舗 | 保険医療材料(モニター類) | △ ややプラス(診療報酬より設備投資余力の影響大。病院経営改善でモニター更新需要に繋がる可能性) |
| 7817 | パラマウントベッドHD | 医療・介護用ベッドの国内最大手シェア7割kabukarin.net。在宅介護レンタル向けも展開 | 介護保険(福祉用具貸与) | ◎ プラス(介護報酬増で福祉用具貸与収入アップ期待。高齢者増に伴う需要拡大基調) |
補足: 医療機器はグローバル展開する企業も多く、為替や海外薬事規制などの影響も大きい点に留意が必要です。しかし国内市場に目を転じれば、診療報酬で評価される新技術(例:ロボット手術の保険拡大、AI診断の評価新設など)は、その機器を供給するメーカーの市場拡大に直結します。今回も遠隔診療や在宅医療機器が脚光を浴びており、関連メーカーには長期成長の機会となるでしょう。
製薬企業セクター(新薬・ジェネリック製薬)
影響の仕組み: 製薬企業にとっては診療報酬本体よりも薬価改定が直接的な影響を持ちます。残念ながら近年の薬価は毎年のように引き下げられており、2024年度も薬価改定率-0.97%と収益マイナス要因となりましたnote.com。診療報酬本体が増額でも薬価が下がれば、病院で使われる医薬品の売上単価が下がるため、製薬各社の国内売上は圧迫されます。一方で診療報酬改定に伴う医療提供体制の充実(例: 外来患者増や検査増加)は間接的に薬剤需要を増やす可能性があります。例えば外来診療報酬の増額で受診者が増えれば処方薬の数も増えるかもしれませんが、その効果は限定的でしょう。
大手新薬メーカーの場合、日本国内市場の売上は全体の一部であり、グローバル展開や新薬パイプラインの成否が株価を左右します。そのため診療報酬増による恩恵は間接的・限定的です。むしろ高額新薬の保険収載時には薬価算定で利益率が確保できるかが焦点です。近年は画期的新薬に*「効能再評価による薬価引き下げ」*が適用されるケースもあり、たとえ診療報酬が増えて医療財源が増加しても、製薬企業が恩恵を受けにくい構造になっていますnote.com。
ジェネリック医薬品メーカーにとっては、調剤報酬制度との絡みも重要です。調剤薬局が後発医薬品を調剤すると加算が得られる仕組みがあり、介護施設等でも後発品使用促進が進められています。そのため、診療・調剤報酬改定で後発品使用体制加算などが強化されるとボリューム拡大が期待できます。ただしジェネリック自体の薬価も定期的に引き下げられるため、数量増と価格低下の綱引きになります。
過去の動向: 2021年前後から国内製薬株は低調で、薬価毎年改定の恒常化が嫌気されてきましたkabutan.jp。2024年も中間年改定こそ見送られましたが、来年度以降再開の可能性があります。もっとも、長期視点では製薬セクター全体のEPS成長は安定しており、市場全体がマイナス成長の年でもヘルスケアセクターはプラス成長を維持してきましたmorganstanley.com。これは医薬需要の底堅さゆえで、配当利回り等も含めディフェンシブな魅力があります。また2023年末にはアルツハイマー新薬(レカネマブ)の承認が話題となり、開発企業であるエーザイの株価が大きく動くなど、個別材料が株価を左右する場面も目立ちます。アナリストは「国内薬価制度の枠組みに左右されないグローバル展開力」が重要と指摘しており、報酬改定の恩恵だけに頼らない企業が選好されていますgo.sbisec.co.jp。
代表的な銘柄一覧(製薬企業): 大手新薬メーカーとジェネリック主要各社から、報酬制度との関連を説明します。
| 証券コード | 企業名 | 主な事業領域・製品 | 報酬制度との関連 | 改定影響評価 |
|---|---|---|---|---|
| 4502 | 武田薬品工業 | 国内最大手のグローバル製薬。消化器、希少疾患、ワクチン等 | 薬価(国内収載医薬品) | 小(国内売上比率約3割。薬価下げ影響をグローバル新薬で補完go.sbisec.co.jp) |
| 4503 | アステラス製薬 | グローバル展開。泌尿器やがん領域強み、新薬開発中 | 薬価 | 小(国内収益への改定影響軽微。米国市場動向の方が株価左右go.sbisec.co.jp) |
| 4523 | エーザイ | 神経領域(アルツハイマー薬など)に強み。グローバル提携あり | 薬価 | 中(画期的新薬が国内承認時の薬価算定が収益左右。レカネマブ保険適用で売上増期待) |
| 4507 | 塩野義製薬 | 感染症や経口ワクチン開発に注力。国内売上比やや高め | 薬価 | 中(コロナ薬など一部薬価改定影響あるも、自社新薬創出でカバー狙う) |
| 4887 | サワイグループHD | ジェネリック医薬品最大手。国内後発品シェアトップクラス | 薬価・調剤報酬(後発加算) | 中(薬価毎年▲も後発使用量増で相殺狙う。調剤報酬で後発加算維持が追い風) |
| 4553 | 東和薬品 | ジェネリック大手。DPC病院向け販売に強み | 薬価・調剤報酬 | 中(薬価下げ影響大も販売拡大に注力。調剤基本料引下げで中小薬局減少なら販売先集中の可能性) |
ポイント: 製薬各社には配合剤の評価適正化や長期収載品のリファレンス価格導入など、診療報酬・薬価以外の制度変更も控えています。株式市場では、診療報酬アップだけで製薬株を評価するのではなく、各社の新薬パイプラインやグローバル戦略を重視する傾向が強まっています。もっとも、介護報酬増で高齢者医療サービスが拡充すれば、ワクチンや生活習慣病薬の接種・処方機会が増えるなど間接的なプラス材料も考えられます。医薬品セクター全体としては安定成長・高配当の魅力があり、長期投資ではヘルスケアの予測可能な収益性が再評価されるべきとの見方もありますmorganstanley.com。
調剤薬局セクター(調剤チェーン・薬局)
影響の仕組み: 調剤薬局の収入は調剤報酬で決まり、これは診療報酬改定と同時期に見直されます。2024年度は調剤基本料(薬局ごとの月間処方箋受付回数等に応じた定額部分)の引き上げが行われましたyaku-job.com。一方で大型門前薬局に対する厳しい措置も続いており、月4000枚超の処方箋を扱う大規模薬局で特定医療機関に7割以上依存する場合は基本料区分が下げられるなどの減算強化が実施されていますcb-ri.co.jpcb-ri.co.jp。「大手叩き」とも言われるこれらの制度により、全国チェーン薬局では1処方当たり収入が低く抑えられる傾向があります。しかし、全体としては人件費高騰への対応策として調剤技術料各項目が数点ずつ引き上げられておりyaku-job.com、*「調剤基本料3点アップ」*など薬局全体のベース収入は増額となりました。加えて、在宅薬剤管理やかかりつけ薬剤師の推進策も拡充されており、地域密着型薬局には追い風ですyaku-job.commusubi.kakehashi.life。
過去の動向: 調剤報酬は2010年代から大型薬局チェーンに不利な改定が続いてきました。例えば2016年改定では受付回数多い薬局の基本料引き下げ、2018年には敷地内薬局ペナルティ導入、2020年以降も後発品調剤体制加算の要件強化など、大手ほど収入減となる項目が目立ちましたcb-ri.co.jpcb-ri.co.jp。その結果、大手チェーンはM&Aで店舗数を増やすか効率化でコスト削減することで利益を確保する戦略を迫られていますcb-ri.co.jp。今回改定でも同様の流れですが、プラス改定部分もあるため各社の対応次第で明暗が分かれるでしょう。実際、2023年度下期には調剤各社の決算で増収ながら人件費増で減益というケースが多く見られましたcare-news.jp。処遇改善加算の原資確保と薬剤師確保は急務であり、各社ともDX投資(電子薬歴の活用等)や在宅サービス拡大で収益性向上を図っています。市場では、調剤大手の安定性と中小薬局再編の加速に期待する向きもあり、低PERの出遅れ銘柄として物色されることもあります。
代表的な銘柄一覧(調剤薬局チェーン): 調剤報酬改定の影響を受けやすい主要薬局チェーンを示します。
| 証券コード | 企業名 | 主な事業・店舗数 | 報酬制度との関連 | 改定影響のポイント |
|---|---|---|---|---|
| 9627 | アインホールディングス | 調剤薬局最大手(グループ約1,200店)。ドラッグ併設店も展開 | 調剤基本料・薬学管理料 | △ 増収増益期待(基本料アップ恩恵あり)。一方で大型店多く一部店舗で基本料減算適用cb-ri.co.jp |
| 3341 | 日本調剤 | 調剤薬局大手(約700店)+後発医薬品製造も併営 | 調剤基本料・後発品加算 | ○ ややプラス(基本料3点増で収入増。cb-ri.co.jp減算影響はあるが自社後発品で利益補完) |
| 3034 | ココカラファイン *注 | ドラッグストア大手(調剤併設店多数、処方箋受付数上位)。2021年マツモトキヨシと経営統合 | 調剤基本料・地域支援加算 | △ (大型店多く基本料区分劣後も、グループ調剤売上増で総利益は維持。統合効果で効率化図る) |
| 4350 | メディカルシステムネットワーク | 中堅調剤チェーン(約380店)、「なの花薬局」展開。薬局ネットワーク事業も | 調剤報酬全般 | ○ プラス(中規模店主体で減算リスク小。報酬増は純粋恩恵に。IT活用で収益性向上を推進) |
| 7581 | サンドラッグ *注 | ドラッグストア大手だが調剤も約200店舗展開。OTC主体から調剤比率拡大中 | 調剤報酬全般 | ○ プラス(ドラッグ他事業比率高いが調剤拡大戦略。報酬増で調剤部門利益寄与増) |
注: ココカラファイン(3034)とサンドラッグ(7581)はドラッグストア主体の企業ですが、近年調剤併設を積極化しており調剤報酬の影響も無視できません。調剤専業のアインHD、日本調剤、クオール(証券コード:3034はココカラと重複のためクオールHDは省略)などは改定メリットを享受しやすい反面、大手ゆえの減算リスクも常につきまといますcb-ri.co.jp。一方、メディカルシステムネットワークのような中堅は基本料減算の対象になりにくく、改定の恩恵を相対的に受けやすいといえます。
ヘルスケアITセクター(医療DX・遠隔医療・ITサービス)
影響の仕組み: 医療・介護分野のIT企業は、診療報酬や介護報酬の改定内容が新サービス普及の追い風になるケースが多々あります。代表例がオンライン診療です。2022年の診療報酬改定ではオンライン診療の評価が見直され、初診からのオンライン診療料新設や対面との差縮小が行われましたdiamond.jpdiamond.jp。これにより医療機関がオンライン診療を導入しやすくなり、関連システムを提供する企業の市場が広がりました。「診療報酬が上がる=IT需要増」という図式が成り立つ背景には、報酬改定で業務効率化やデジタル化にインセンティブが付くことがあります。例えば2024年度は医療DX推進として電子カルテ標準化やデータ連携が重点課題に掲げられ、診療報酬でも情報共有や事務負担軽減に絡む加算が盛り込まれましたnote.comnote.com。これに対応する形で、電子カルテベンダー各社が機能改善を進めており、要件を満たすシステムへの更新需要が生じていますnote.comnote.com。
介護分野でも、2024年度介護報酬で財務諸表の見える化やケア記録のICT化が打ち出され、介護ソフトや記録システムの需要増が期待されますsolasto-career.comsolasto-career.com。政府は2025年に向けて医療・介護のデジタル基盤整備を推進中であり、マイナンバーカードの保険証利用もその一環です。オンライン資格確認システム導入は報酬加算で後押しされ、対応が遅れた電子カルテには警鐘が鳴らされましたnote.comnote.com。このように制度改定はIT企業にとってビジネスチャンスであり、市場では関連銘柄がテーマ株化しやすい傾向があります。
過去の動向: 2020年のコロナ禍では特例的にオンライン診療が解禁・推奨され、エムスリーやメドレーなど遠隔医療関連株が急騰しました。その後2022年改定で正式にオンライン診療料が整備されると、関連6銘柄の特集が組まれるなど注目を浴びましたdiamond.jpdiamond.jp。実際、オンライン診療市場は報酬後押しで拡大し、メドレーが提供する「CLINICS」やエムスリーとLINEの「LINEドクター」などの利用件数が増加しましたdiamond.jp。また、医療情報システムでは中小ベンダーの乱立による不具合が問題視され、厚労省は標準電子カルテ構想を打ち出していますnote.com。2025年に標準版αをリリース予定で、これを受託する企業が現れれば大きく飛躍する可能性がありますnote.com。ただし外れた場合のリスクも大きいため、専門家は病院向けシェアや技術力を見極めて投資すべきと助言していますnote.comnote.com。全体としてヘルスケアITは成長期待が高い反面、株価変動も大きいセクターです。政策テーマ株の色彩が強く、報酬改定や政府方針のニュースで短期的に物色される一方、中長期では収益性と契約獲得力が問われます。
代表的な銘柄一覧(ヘルスケアIT関連): オンライン診療・電子カルテ・医療情報提供など報酬改定の恩恵を受けやすい企業を挙げます。
| 証券コード | 企業名 | 主なサービス・強み | 関連する制度 | 改定追い風の状況 |
|---|---|---|---|---|
| 4480 | メドレー | 医療ヘルスケアIT総合企業。「CLINICS」オンライン診療システムや医療求人サイト運営diamond.jp | 診療報酬(遠隔医療) | ◎(オンライン診療報酬新設で普及拡大diamond.jp。無床クリニック向け電子カルテ国内シェア1位note.com) |
| 2413 | エムスリー | 医師向けポータル「m3.com」運営。LINEヘルスケアでオンライン診療「LINEドクター」を提供diamond.jp | 診療報酬(遠隔医療) | ◎(オンライン診療料の対面との差縮小で導入加速diamond.jp。製薬マーケ等他事業との相乗効果大) |
| 2934 | ジェイフロンティア | オンライン診療~処方薬宅配プラットフォーム「SOKUYAKU」運営diamond.jp。医薬品ECも | 診療報酬(オンライン服薬指導) | ○(調剤報酬でもオンライン服薬指導が評価される流れで利用増期待。23年COOに著名経営者迎え体制強化diamond.jp) |
| 3671 | ソフトマックス | 病院向け電子カルテベンダー中堅。公的病院(JCHO等)に導入実績note.com | 診療報酬(入院管理加算等DX関連) | ○(オンライン資格確認にいち早く対応しホワイトリスト掲載note.com。標準型カルテ対応進展で評価) |
| 3733 | ソフトウェア・サービス | 病院向け電子カルテ最大手級。徳洲会など大規模病院グループで実績note.com | 診療報酬(入院管理加算等) | ○(自社カルテが標準規格適合で上位シェア。診療報酬改定でのDX需要を着実に取り込み、低PERながら高ROEnote.com) |
| 4483 | JMDC (日本医療データセンター) | 健保データ分析や医療統計サービス大手。病院向け経営支援やPHRも展開 | 診療報酬(データ提出加算等) | △(診療情報提供加算などでデータ利活用進む環境はプラス。官民データ利活用推進で中長期成長期待) |
注: ヘルスケアIT分野は新興企業が多くボラティリティが高い点に注意が必要です。診療報酬改定は制度的追い風を与えますが、最終的に業績に結びつくかは各社の営業力次第です。例えばオンライン診療関連も「普及期にある」とはいえ現時点では利益貢献が小さいケースがあり、高PER銘柄が多いですnote.com。一方で電子カルテなど既存ビジネスで安定収益を上げつつDX追い風で成長をうかがう企業(例: ソフトウェア・サービス等)はバリュエーション的に割安との指摘もありますnote.com。総じて、国策テーマに沿った中長期の成長期待が大きいセクターであり、「国策に売りなし」の格言通り腰を据えた投資に適すると言えるでしょうnote.com。
まとめと見通し
診療報酬・介護報酬の引き上げは、日本のヘルスケア産業に幅広く波及効果をもたらします。病院・介護施設の経営改善による設備投資や人材需要の増加、医療DXの加速、利用者ニーズの掘り起こしなど、セクターごとに恩恵の形は異なりますが総じてプラス材料です。一方で、公定価格ゆえに改定率は政治・財政状況に左右されるため、過度な楽観は禁物です。特に製薬や調剤は引き下げ要素も含まれるため、企業ごとの戦略対応力が株価を分けるでしょう。
アナリストのコメントによれば、ヘルスケア関連株は長期的に利益成長が安定しており、市場全体が低迷する局面でも底堅い「予測可能性の高い」セクターと評価されていますmorganstanley.com。今後の見通しとして、高齢化ピークに向けた政策支援(2025年問題対応)やデジタル改革が続くため、医療・介護セクターへの資金流入は継続すると考えられます。ただし個別銘柄では業績の二極化も予想され、報酬増を成長に結びつけられる企業を見極めることが重要です。各企業のIR資料や中期計画にも、今回の改定を追い風とした事業拡大策が示されています(例: ソラストは「介護事業での売上成長とIT投資」を掲げるfinance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp)。投資家にとって、国策の方向性と企業戦略の整合性をチェックしつつ、大型の安定銘柄から中小の成長銘柄までバランスよく注目していくことが有効でしょう。
参考文献・情報源:
- 【4】りゅうぜん「診療報酬改定と投資銘柄の話」(2023)note.comnote.com
- 【23】ザイオンライン「赤字病院7割に迫る『病院経営支援』関連株」(2025)diamond.jpdiamond.jp
- 【32】ソラジョブ介護「2024年度 介護報酬改定のポイント解説」(2024)solasto-career.comsolasto-career.com
- 【33】介護ニュースJoint 小濱氏「厳しい介護報酬改定、事業者の二極化」(2024)joint-kaigo.comjoint-kaigo.com
- 【12】かりんの株レポ「介護テック関連株 本命・出遅れ一覧」(2024)kabukarin.netkabukarin.net
- 【40】CBリサーチ「報酬改定は大手薬局に厳しいのか?」(2024)cb-ri.co.jpcb-ri.co.jp
- 【15】ザイオンライン「オンライン診療関連6銘柄解説」(2022)diamond.jpdiamond.jp
- 【18】同上(エムスリー解説部分)diamond.jp
- 【5】りゅうぜん note「電子カルテベンダー事情」(2023)note.comnote.com
- 【17】ザイオンライン「メドレー(4480)解説」(2022)diamond.jp
- その他、各社決算説明資料・日経記事・業界資料など