2023年、OpenAIのChatGPTの登場により、世の中の流れが一気に変わったように感じます。同時に、「AIスクール」などの少し怪しいビジネスも新しいトレンドとして広まり始めた印象があります。
ここで、約1年間、生成AI(主にChatGPT)を毎日活用してきたヘビーユーザーとしての感想を書きたいと思います。
ChatGPTを使い始めたのは2023年12月で、主な目的はウェブアプリ開発、データ分析、翻訳、そして文章作成でした。
結論から言うと、生成AIの強さには驚かされましたが、それでも「本物の知能」だとは思っていません。私の理解が正しい限り、生成AIは与えられたインプットに対して、もっとも「それっぽい」結果を生成しているだけだからです(とはいえ、それでも十分すごいですが)。
これまで私がGPTに頼んだ技術的タスクの多くは、SvelteやPolars関連というニッチな分野でした。そのためか、非常に高い確率で間違った情報や不正確なコードを返されることがありました。
例えば、SvelteはJavaScriptのウェブアプリ開発のためのフレームワークですが、Svelteに関する質問をすると、たまに別のフレームワークのコードや書き方が返ってくることがあります。同様に、Polarsに関してはPandasのコードを間違えて返すことが非常に多いです。また、GPTはPythonのようなメジャーな言語では圧倒的に優れた回答をする一方、Rustなどの分野では妙な出力を返すことがあります。
これらの経験からわかるのは、GPTが過去の学習データで手法が確立された問題に対しては優れた回答を出せる一方で、新しい分野や未熟なテーマに関しては「わからない」と素直に認めず、それっぽい回答を無理に生成してくるということです。
また、GPTは質問に対して一定の文脈を記憶していますが、その背景や前提を本当に理解しているわけではありません。あくまで「その背景を前提とした場合、このような結果が妥当だろう」といった形で文章を生成しているように感じます。
やや否定的な側面も書きましたが、私は生成AIを決して否定しているわけではありません。ChatGPTは間違いなく人類史に名を残す大発明であり、非常に強力なツールです。しかし、それによって人類の知的役割が終わるわけではありません。
前述の通り、GPTは「それっぽい」結果を生成するため、十分な知識がないと間違った情報に騙されたり、そのまま使ってしまうリスクがあります。ジュニアの仕事は確かに減少するかもしれませんが、生成AIだけでタスクをこなせる時代が来るとは思えません。結局のところ、生成AIは努力する人をより強力に支援するツールになるのではないかと考えています。